産学官連携による離島DXの軌跡 ~「人と人」の共創が生み出す、持続可能な業務変革~

産学官連携による離島DXの軌跡 ~「人と人」の共創が生み出す、持続可能な業務変革~

2025年度(2025年4月~2026年3月)、弊社は長崎県新上五島町の事業者様、長崎総合科学大学の学生、そして地元行政・団体と連携した「産学官連携DXプロジェクト」において、企画・運営から技術指導、導入支援に至るまでのコーディネート及びプロデュースを担当させていただきました。

1年間を通じた本プロジェクトは、単なる「システムの導入」にとどまらず、AI時代における「人が働く意味」や「真のDXとは何か」を深く考えさせられる、非常に学びの多い取り組みとなりました。本記事では、その活動の軌跡と見えてきた課題、そして今後の展望についてご報告いたします。

産学官連携による離島DXの軌跡
産学官連携による離島DXの軌跡 ~「人と人」の共創が生み出す、持続可能な業務変革~

始まりは新上五島町からのSOSと、産学官連携の輪

本プロジェクトは、新上五島町商工会様からのご紹介をきっかけに始動しました。実証フィールドとしてご協力いただいたのは、五島うどん製造事業を営む「株式会社マルマス」様と、あごだし・魚介加工販売を手掛ける「有限会社はたした」様の2社です。

ここに、長崎総合科学大学 総合情報学部の4年生(卒業研究)、長崎県五島手延うどん振興協議会様、そして新上五島町役場 五島うどん課様が加わり、産学官連携による共同開発プロジェクトとして立ち上がりました。

現場で直面した「リアルなDX導入の壁」とDevOps開発

長崎市内の大学生と離島の事業者をオンラインゼミで繋ぎ、事業課題の解決に向けたITツールの開発を進める中で、私たちは「リアルなDX導入の壁」に直面しました。

それは、「デジタル技術への苦手意識」や「デジタルに慣れた世代とそうでない世代のギャップ」、そして「長年慣れ親しんだ手順が新しくなることへの現場の抵抗感」です。

「現場で本当に使ってもらえるITツールとは何か?」 この問いに対し、私たちは最初にすべての仕様を決めるのではなく、短いサイクルで試作と対話を繰り返す「DevOps(アジャイル的開発)」の手法を取り入れました。学生たちは現場の皆様から直接フィードバックをいただき、「タブレットで見た瞬間に何を書くか分かる画面」などを模索し続けました。

結果として、マルマス様では手作業で約1時間かかっていた原価計算への転記作業「わずか23秒」に短縮するなどの圧倒的な業務効率化を実現することができました。これは、事業者様も学生たちも、1年を通して手探りで進めた「はじめてのDX導入の経験」の賜物です。

AI時代に問われる「人が働く意味」と共創の価値

AIでできることが爆発的に増えている現代において、「人が仕事をすることの意味や意義」とは何でしょうか。 人口減少や事業承継の困難という深刻な課題を抱える地域において、「デジタル化・自動化・効率化」はもはや避けては通れない必然の選択です。

しかし、今回私たちが学んだ最も重要なことは、DXの主体はいつでも「人と人」であるということです。 現場の困りごとに耳を傾け、それを技術で解決しようと寄り添う学生たちの姿勢。そして、出来上がったシステムが動いた瞬間に現場で生まれる「便利になった!」という感動や喜び。こうした「人と人との共創」の温かみが感じられないDXは、決して現場に定着せず、持続可能な変革にはならないと確信しました。

プロジェクトを終えて:今後のPBL指導の体系化へ

本プロジェクトのコーディネーター兼技術指導者として、学生に「他者視点」や「商売のリアル」を教えながら並走してまいりましたが、弊社としても教えられることが非常に多い1年でした。

教育機関(学業)と事業者(事業経営)の目的の違いによるジレンマや、持続可能な運用体制づくりといった課題にも直面しましたが、この泥臭い現場開発の経験は、弊社における今後の「PBL(Project Based Learning:課題解決型学習)指導」の体系化に向けた大きな一歩となりました。

最後に、1年間多大なるご協力をいただいた株式会社マルマス様、有限会社はたした様、関係機関の皆様、そして最後まで開発に食らいついてくれた学生の皆様に、心より深く感謝申し上げます。

株式会社コクリエシステムズは、これからも「お客様と共創する(Co-Creation)」という理念のもと、地域に寄り添い、人と人が喜びを分かち合える持続可能なDX推進を支援してまいります。

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